QIとは、医療の質を評価する目安となる指標です。我われが皆さまに提供している医療が”医学的な根拠に基づいているか”を測定している指標とも言えます。
このQIですが、アメリカを中心とする海外では以前から導入されていましたが、日本でもようやく総合病院を中心にQIを公表する医療機関が出てきました。詳しくはこちらをご覧下さい。
しかし、クリニックレベルでQIを公表しているところは、我われが検索した限りでは、日本にはありませんでした。
浅草クリニックでは、他のクリニックに先駆けて、日本初ともいえる、外来患者さんで高脂血症の薬を飲まれている方を対象に、血清コレステロールの治療コントロールレベルを評価し、総合病院と比較してみました。
当院で”脂質代謝異常”と診断され、コレステロールや中性脂肪を下げる薬を飲んでいる方の88.1%が、LDL(悪玉)コレステロールの値が139以下でした。
脂質代謝異常症の治療の一般的な目標として『LDL<140mg/dl』とされていますので、ほとんどの方が治療目標を達成されていることが分かりました。
次に総合病院(A病院)で公表されている値と、当院のデータを比較してみました。
下の表にありますように、A病院でLDLコレステロールが140未満を達成している患者さんは2004年には81.2%であったのが、徐々に増加して2009年には90.2%の方が治療目標を達成していることが分かります。
当院のデータをA病院と比較すると、当院の値である88.1%という数字は、A病院と同等の数字であることが分かりました。
つまり、”当院に脂質代謝異常で通院されている患者さんは、A病院という総合病院で治療を受けている患者さんと同じレベルの治療を受けられている”ということが分かりました。
患者さんの中には、”専門医が揃っている大きな病院で治療を受けたい”と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、この結果を踏まえますと、大きな病院でも当院のようなクリニックでも、同じような治療を受けることができる、と言えるのではないかと思います。
脂質代謝異常の治療に重要なことは、心臓・脳などの血管の病気を予防することです。つまり、体を総合的に診てもらう必要があると考えられます。
”かかりつけ医”を見つけて、主治医と色々な相談をしながら、体全体を診てもらうことが重要と言えます。
今回、初めて当クリニックの脂質代謝異常の治療効果を見るためのQIの検討を行いました。これからは、多くの病院で公表されている血圧の治療効果や糖尿病の治療効果についての検討をしていきたいと考えております。
浅草クリニックでは、皆さまに最高の医療を提供していくために、定期的に指標を検討していきたいと考えております。
参考文献 http://www.luke.or.jp/qualityindicator/top.html/